CASE1導入事例 
株式会社トータルオーエーシステムズ様

事務局の親身な対応が2つの素敵な出会いを叶えてくれました。

株式会社トータルオーエーシステムズ/管理本部 採用推進部 山岸様 システム本部 伝法谷様

課題は母集団形成。コストをかけずに人材不足を解消したい!

優秀な人材を見出すキーポイントの一つに、効果的な母集団形成が挙げられます。母集団形成とは、自社の求人に興味や関心を持つ採用候補者を集めること。単に候補者の母数を増やすだけでなく、自社の業務にフィットする質の高い人材を確保することが肝要です。

金融、流通、官公庁などのITネットワークやシステム環境を構築し、さまざまなソフトウェア開発も手掛けているトータルオーエーシステムズでは、常に変化を続けていく社会情勢にリンクさせながら人材配置を進化させ、計画的な採用戦略を立ててきました。

今回お話を伺ったのはリクルートの現場に携わる山岸さん。同社は、年間を通じて各種技術学校やハローワークで採用活動を行っています。

山岸さん「まず、コストをあまりかけられないという前提があり、前任の先輩担当者が、大学、専門学校、職業訓練校などを、長年自らの足で訪問しながら求人票を手渡ししてきました。就職支援をされる学校関係者のみなさまとは、やはり対面でお話をするのが、よりよい関係性を築く最良の方法だと思います。膝を交えてコミュニケーションを取り続けることで、学校の先生方が弊社の業務や活動に興味を持ってくださり、学生のみなさんにも声をかけていただきやすくなります。私もこの春から採用担当者として働くことが決まり、そんな先輩の思いを引き継いでこの業務に取り組んでいます」

限られたチャンネルを駆使しながら、少しでも自社の存在価値を理解してもらい、ともに働ける大切な仲間を見つけていきたい。そんな折に、山岸さんの先輩担当者が注目したのが雇用創出・安定化支援事業でした。

山岸さん「実は私自身が、この制度のトライアル就労を経て弊社に登用された正社員第1号なんです。元々、前職では人事・採用を担当し、人材の発掘や育成に関わってきました。IT分野はまったくの畑違いでしたが、とにかく採用の仕事に就きたくて挑戦させていただきました」

山岸さんのトライアル就労が始まったのは3月初旬。当時すでに3月末を以って先輩担当者の退職が決まっており、山岸さんはその後任者としてお仕事に励んできました。

山岸さん「本来このトライアル就労は、最大2か月まで可能です。会社としては、その間の採用コストが東京都から支援されるため、企業と求職者の相互理解を深め、マッチングの度合いを推し量る意味からも、目一杯その期間を充てたいというのが基本的な考え方だと思います。ところが、私の場合は早々に自分の意思が固まり、また、おかげさまで会社からもご評価をいただき、その結果1か月足らずで採用が決まりました

自身が体験した奇跡のようなマッチングを、次に生かしたい

さまざまな幸運が重なり、晴れて4月から採用担当者としてのスタートを切った山岸さん。例年4月~6月末にかけて行われる新卒者を対象とする研修業務と並行して、この制度を活用した人材募集を進めることになりました。さっそく山岸さんは事務局の営業担当者と綿密な擦り合わせを実施。採用ターゲットの要件を明確化しながら、新人研修を終えた社員たちが、その次のステージへと進むために行われるグループワークに照準を合わせ、トライアル就労を希望する求職者を募ったといいます。

山岸さん「営業担当者さんやマッチング担当者さんには、日程調整の面などで、とても柔軟な対応をしていただき感謝しています。私がこの制度によって採用に至ったのは、かなりのレアケースだとは思いますが、私自身の経験を求職者のみなさんにお伝えすることで安心して働いてもらえるきっかけになるんじゃないかと考えていました。ただ、求職者が6月から始まるグループワークに参加いただけるかどうかが条件だったのです」

山岸さんのリクエストに、事務局は真摯に対応してくれたのだとか。登録者の中から条件にマッチする人材を探し、旅行会社で社内システムの管理・保守にあたっていたという経歴を持つ伝法谷さんを紹介。ご本人の意向も汲み取りながらトライアル就労に臨むこととなりました。

山岸さん「私の初仕事が伝法谷さんの採用でした。自分と同じこの制度を活用して就活を行なってきたというところに共感したのはもちろんですが、はじめて伝法谷さんにお会いした時は素敵な人がきてくれてよかったと感じました。心からうれしかったのを覚えています」

ITに関連するお仕事に従事しながらも「いつかは自分でプログラミングができる仕事環境へ進みたい!」と考えていた伝法谷さん。派遣のスキームが用いられているこの制度では、一般的な採用面接は行えませんが、トライアル就労だからこそミスマッチを防ぐことができるエピソードがあるのか、取材に同席された伝法谷さんに採用に到るまでの思い出を尋ねると、興味深いお話を伺うことができました。

伝法谷さん「前の職場では社内SEとして働いていました。SEといっても、システムやソフトウェアの開発は外部リソースである専門会社のみなさんに委ね、私はIT運用に不慣れな社内スタッフとの橋渡し役をしていました。でも、やっぱりプログラミング業務に就きたいという思いは消えません。そこで派遣会社に登録し、ITの分野に進む道を模索していました」

当初、事務局から伝法谷さんに提示されたのは『新宿駅から徒歩10分』、『初心者・未経験者でも可』といった最低限のインフィメーションのみ。どのような会社なのかはわかりません。しかし、伝法谷さんは「たとえどんな案件でもいい、幅広いお仕事にエンジニアとして向き合いたい」という自らの意思を事務局に伝え、トライアル就労に参加したといいます。

その後、実施されたグループワークでは、新卒社員に混じって一緒に共同作業を行ないました。

伝法谷さん「戸惑いはほとんどありませんでした。同期のみなさんはとてもいい人たちで、指導してくれた先輩や上司の方々も明るく接してくださり、すぐに会社の雰囲気になじむことができました。トライアル就労が始まって1か月後に面接があったのですが、すでに十分なコミュニケーションが取れていたので迷いや緊張感はなかったですね。『ぜひここで働かせてください!』と、素直な自分の気持ちをお話しすることができました」

山岸さんご自身もそうであったように、求職者だった伝法谷さんにとって、トライアル就労は忘れられない出来事として記憶に刻まれたようです。現在、伝法谷さんはドローンに関連したソフトウェア開発のプロジェクトに加わり、日々スキルアップに努めながら、先輩スタッフのみなさんと楽しくお仕事をされているとのこと。今後のさらなる活躍が期待されています。

その利点は、採用した人材の定着や活躍に期待できること

山岸さん「まだ、私と伝法谷さんしか採用実績はありませんが、この制度は双方にメリットがあって、とても素晴らしい仕組みだと思います」

求職者はあらかじめ会社の社風や文化、自分との相性を窺い知れるだけでなく、実際にトライアル就労を経てゆく中で、仕事に対するやりがいを見つけたり、将来のビジョンを描くこともできるでしょう。一方、採用担当者の立場から見ると、求職者の働きぶりを間近に触れ、その人となりやポテンシャルを見極め、適材適所の人事を行なうことが可能となります。

山岸さん「常時優秀な人材を求めていらっしゃる企業さんには、ぜひおすすめしたいですね。より多くの人を探すチャンスが増え、しかも幅広いスキルを持った質の高い人材を見つける近道になると思います。引き続き、秋の採用に向けて活用させていただく予定です」

1〜2か月にわたるトライアル就労はお互いの判断期間。日を追うごとに求職者のモチベーションや入社意識が高まっていくことで「通常の面接採用に比べて辞退率が軽減できるのでは?」と、山岸さんは大きな期待を寄せています。

事例紹介/企業プロフィール
株式会社トータルオーエーシステムズ
東京都新宿区西新宿2-3-1 新宿モノリス6F
事業内容:ソフトウェア開発、システムコンサルティング、システムサポートサービスなど
従業員数:連結234名、単体166名
取材撮影:2022年8月