CASE1導入事例 
株式会社ブランチ様

お互いの「え?」から生まれるミスマッチ 解決に導いたのは「トライアル就労」でした。

株式会社ブランチ/代表取締役 松枝様 営業本部主任 喜屋武様

オフィスビル、教育機関、高層住宅が渾然一体となり、新時代の都市環境を形成している港区・芝浦エリア。その一角にソフトウェアや各種管理システムの開発、管理、運用などを幅広く手がける株式会社ブランチがあります。 松枝代表はご自身が現役のエンジニア。多種多様な企業・業界団体向けソリューションの企画提案や開発プロジェクトを指揮しながら、スタッフの採用と教育にも力を注いでいます。

トライアル就労は、さまざまな人材と出会える貴重なチャンス

松枝代表「コロナ禍によって一時は事業が減少してしまいましたが、昨年後半からようやく回復の兆しが見えてきました。そこで人員の拡充を考えていた矢先、事務局からのご案内があって、この支援事業の存在を知ったのがきっかけです。昨年10月からこの制度を活用させていただき、だいたい月に1〜2名程度の求職者をご紹介してもらっています」

事業登録後、事務局からスキルチェックシートを通じて提案される人材は多士済々。経験の有無に関わらず、たくさんの求職者がトライアル就労に訪れました。

松枝代表「システムエンジニアには、当然ながらプログラミング能力をはじめとする専門技術や知識が求められます。しかし、そこは私が教えていけばいい。まったくの未経験者でも構わないと考えていました。むしろコミュニケーション能力に長けていれば、プロジェクトをまとめる進行業務に就いてもらえますし、現場に入って持ち前の力を発揮したり、思いがけない適性を身に付けてくれたりする人もいます。人は自信を持てば変わります。『エンジニアになりたい!』という明確なビジョンを携えているかどうかがポイントになりますね」

同社の場合、トライアル就労はあくまでも人材教育のための助走期間と捉え、求職者が実際の業務に関わることはほとんどありません。松枝代表が考え抜いた数十ページにおよぶ課題集をこなしながら、最大2か月にわたってITスキルを身に付ける研修が行われます。この間、企業側は東京都の支援によって給与や交通費(一部)の負担を和らげることができ、求職者は派遣社員としてスキルアップに努め、会社の雰囲気や企業風土を肌で感じながら自らの適性を見つけてゆくこととなります。松枝代表にとってトライアル就労は「その人物の人となりや資質を見極める絶好の機会」だと語ります。

両者のマッチングを見極め、お客様とマッチする仕事で輝いてほしい

松枝代表と二人三脚で同社の運営に携わり、営業主任としてビジネスチャンスを開拓している喜屋武さんも、トライアル就労の意義を次のようにお話してくれました。

喜屋武さん「一般的な求人媒体を利用した採用では、履歴書や職歴書といったエントリーシートを拝見し、お電話や面接でご本人とやりとりをさせていただきます。しかし、それだけではわからないことが、私たちにも、求職者のみなさんの側にもあると思います。一方、この制度は、派遣のスキームが用いられているため、一般的な採用面接がないままトライアル就労へと進みますが、ふとした場面で顕在化してくるお互いの認識のズレを把握しながら、そのギャップを埋めていくことができます。また『エンジニアとして成長していきたい!』という求職者のみなさんそれぞれの強い思いやモチベーションを、事務局のマッチング担当者さんが事前にフィルタリングしてくれ、さまざまな情報や分析を提供してくれるところにも感謝しています。コスト、時間、マンパワーと、あらゆる面で採用時の負担が軽くなったことが実感としてあります」

即戦力となる人材がスピーディに見つかれば、それに越したことはありません。しかし、たとえ経験値が少なくとも、その人のキャラクターや過去の経歴が意外な場面でハマり、会社の業績アップに寄与することもあるのだとか。松枝代表が「この人だ!」と直感的に可能性を感じた求職者がいると、喜屋武さんはその可能性を諦めることなくサポートし、具体的な就労環境を整えていくことに注力されるのだといいます。

喜屋武さん「おそらく、人生が180度変わったスタッフがほとんどではないでしょうか。例えば、ITスキルは皆無で、それまでボランティアの英会話講師を務めていたスタッフが、現在はお客様からの英語での問い合わせにも対応できるブリッジエンジニアとして活躍しています。また、40代でこの世界に飛び込んできたとあるスタッフは、人との意思の疎通が不得手なタイプでした。ところが未経験ながら技術者としての素養と腕は確か。趣味でやっていたプログラミング技術がお客様から高い評価をいただき、今ではそのお客様の業務をマネージメントするまでに成長しています」

他にも、前職が教師だったというスタッフは、日々生徒たちに勉強を教えてきたことで培われたコミュニケーション能力を買われ入社。喜屋武さんが、PCの組み立てやシステムにまつわる相談に対応する業務へとアサインし、ご本人が生き生きと働ける場を提供できたというエピソードも明かしていただきました。

喜屋武さん「先ほど代表からもお話がありましたように、自信さえつけば、能力は自ずと高まっていくと思うんです。また、本人に自覚がなかっただけで、実は隠れた素養や資格を持っていることがあります。それを見つけてあげるのが私たちの仕事であり、時には彼らにフィットする案件を積極的に探してくる努力も惜しみません。もちろん、お客様のニーズに応えることが前提としてあるため、適性にかなう業務が掘り起こせず採用に至らなかったケースもありますが、このトライアル就労がきっかけで実現した新しいお仕事もたくさんあるんですよ」

いい出会いを叶えるために。恐れずにトライアルを!

研修期間中、トライアル就労で参加している求職者や新人社員のみなさんに対して、ボードゲームで気分をリフレッシュさせる時間が設けられています。これは松枝代表によるアイデア。理系的な考え方を身につけてほしいという理由から始まったプログラムの一つです。
ルールをいち早く覚え、ゲームの攻略法を見つけることは、お客様が抱える課題点や問題点に速やかに気づき、仕様書の要点を掬い上げることにも通じていると松枝代表が語ります。

松枝代表「レクリエーションの一環ではありますが、ゲームをプレイしてゆく中で、物事に取り込む姿勢がわかりますし、諦めない気持ちや負けん気の強さなども容易に見て取れます」

また、興味深い試みとしては、1日2名が15分ずつ、自己紹介や趣味を発表するプレゼンテーションが行なわれることも挙げられます。こちらは自分の考えや意見を相手に伝える格好のトレーニングの場に。スペシャリストとして自身の実力を評価してもらうには、上流工程になればなるほど「相応のコミュニケーション能力が求められる」と、松枝代表は言葉を継ぎます。

松枝代表「私たち企業側の、受け入れ体制の整備が、ある程度は必要かもしれませんね。せっかくのトライアル就労の間に、何をして、どこを見極めるか。そして求職者のみなさんにどんな道筋をつけてあげられるか。そこが重要になってくると思います」

ちなみに取材当日、この制度を活用して正社員になられた宮崎さんにもお話を伺う機会が得られました。宮崎さんは第二新卒としてトライアル就労に参加。前述した松枝代表が作成する課題集をハイスピードでクリアした点が評価され、見事本採用に至りました。常に携えていたのはIT業界で活躍したいと願う強い気持ち。現在はプログラミング業務の傍ら、松枝代表とともに新人の指導にもあたっています。

松枝代表「彼もまったくの未経験者ながら、ずば抜けて吸収力が高く、洞察力にも優れていたのです。トライアル就労があったからこそ、彼と出会い、彼の資質を見定めることができ、彼もまた弊社スタッフとしてこの道で頑張って行こうという覚悟ができたのだと思います。この制度を活用したいと考えていらっしゃる企業のみなさんに申し上げたいのは、ぜひ柔軟な気持ちでトライしていただきたいということですね。通常の採用とはまた違ったかたちで、きっと優秀な人材と出会えるチャンスが広がるはずです」

事例紹介/企業プロフィール
株式会社ブランチ
東京都港区芝浦3-15-2 山本ビル5F
事業内容:ソフトウェア開発および販売、人材派遣
従業員数:80名
取材撮影:2022年8月