「成長産業」とは「著しく需要が伸び、技術の進歩によってさらなる発展や成長が期待されている産業分野」です。一般的には、ITやITC、IoTに関連する業種・業態をイメージされるかもしれませんが、それ以外にも市場規模を拡大させている産業はさまざまにあります。このコラムでは成長産業の定義を紐解き、就職・転職活動中の皆さんへ将来性が高いとされるさまざまな産業をご紹介します。
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成長産業とは「著しく需要が伸び、技術の進歩によってさらなる発展や成長が期待されている産業分野」です。その筆頭に挙げられるのはズバリITおよびデジタル業界でしょう。
急速に進化を遂げているこの分野は、関連する製品やサービスが世界中で利用されているためグローバルな展開が可能です。そのうえ市場はますます活性化していて、スタートアップ企業が大企業と競争を繰り広げたり、中小企業が新たな市場を切り拓いていたりする例も枚挙にいとまがありません。
近年では、ICTという言葉も盛んに使われています。これは、ITが通信技術を用いて、人と人とをつなげる役割を担うということ。InstagramやLINEのようなSNSをはじめ、クラウド管理システムでデジタルデータをやりとりしたり、テレワークのように働き方そのものを変えるサービスを提供したり、すでにさまざまな分野で活用されています。
さらに、IoTも見逃せない分野です。従来からあるパソコンやスマートフォンのみならず、最近ではYouTube、Netflixといったコンテンツ視聴サービスや、Spotifyなど音楽配信サービスを利用できるスマートスピーカー、インターネット経由で映像を確認できる遠隔監視カメラ、クラウドを介して情報を取得・分析できる各種機器など、その用途は確実に広がっています。
これらのサービスや商品を、企画、開発、販売、運営するIT業界は、今後もさらなる成長と発展が見込まれています。
観光資源が豊富な日本は、訪日外国人観光客の数が爆発的に増加しています。2013年には1,000万人、18年と19年には2年連続で3,000万人を突破。コロナ禍によって一時的に落ち込んだものの、22年から再び増加し、昨年は19年と同程度にまで回復しています。
近年は円安の影響もあって、旅行先としての魅力がさらに拡大。24年以降もインバウンド需要の上昇傾向は変わらず、宿泊、エンターテイメント、飲食、小売、交通といった各業界がその恩恵を受けるとされています。サービスや接客を提供する側には、異文化を受け入れる適応力などが求められるため、語学に長けたバイリンガル人材に注目が集まっています。
くしくもコロナ禍を契機としてライフスタイルに浸透したのが〝おうち需要〟です。食生活の変化に伴い利用を著しく伸ばしたフードデリバリー、ECサイトの隆盛で業績がアップした物流・倉庫、在宅時間を快適にしたいというニーズが増えたことで白物家電やリフォームなど住宅関連企業も伸長傾向に。これらの業界はアフターコロナにおいても引き続き堅調を維持しています。
地球温暖化の影響や、電気代、ガス代、ガソリン価格の高騰などにより、消費者の間では省エネや再エネに対する意識改革が進んでいます。また、企業においてもその傾向は顕著で、脱炭素化経営や働き方改革をベースにしたDX(デジタルトランスフォーメーション)、GX(グリーントランスフォーメーション)への取組が加速しつつあります。
具体的には、節電効果の高い家電、エコカー、省エネ機器などをつくる製造業、デジタル技術を駆使して生活やビジネスを効率化させる商品やサービスを提供する業界が需要を伸ばしています。カーボンニュートラル実現に向けてさまざまな対策を打ち出しているエネルギーおよびインフラ業界も大幅な成長が期待されています。
高齢化が進む社会において市場規模が大きくなっていく業界に医療や介護の分野があります。その担い手はこれまでも貴重な存在として歓迎されてきましたが、待遇や職場環境の改善など、人材確保に向けた取組が強化されています。
また農業も、政府の「日本再生戦略」に取り上げられた11の成長戦略の一つに数えられています。経営の多角化を図る「6次産業化」や、独自のブランディングによって海外需要を取り込み、新たな付加価値の創出、拡大が進められています。
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